代表世話人挨拶
みなさま、第22回循環器physical examination講習会へようこそ。
この講習会は循環器領域を中心に実践的に身体所見を学ぶ会です。2003年に発足し今回で第22回を迎えます。医療の基本中の基本とも言うべき身体所見、physical examinationを見直し、改めて勉強する会です。本講習会の対象は医師に限りません。医療にかかわるすべての人が知っていて損のないものです。さらに言えば患者さんやその家族も対象としていいと思います。
当院のリハビリのセラピストも毎年熱心に本講習会で学んでいるのですが、先日うれしいことがありました。心不全で通院している患者さんについてです。
お正月明けにリハビリに来たのでセラピストのAくんが頚静脈をみたら以前より頚静脈圧が上昇しているのを発見しました。話を聞いてみるとお正月にご馳走を食べ、またお酒も少し過ぎたとのことでした。早速循環器外来受診をすすめ利尿剤が追加となりました。
もう一つ、セラピストB君です。COPDで在宅酸素療法をしている患者さんを訪問リハで訪れました。最近息切れがひどいとのことで心音を聴くとⅡ音の分裂が目立ったので外来主治医に報告したところ救急受診を指示されました。心エコーで肺高血圧の憎悪が認められ入院となりました。このように患者にかかわる医療スタッフが現場でphysical examinationを活かしてくれているのを知って大変うれしく、また心強く思います。講習会を続けてきてよかったなあと改めて実感した次第です。学んだことを実践の場で活かすのは簡単ではありません。それなりに習熟が必要です。しかし、継続して学んでいけば必ず役に立つ日がきます。
本講習会が参加する皆様にとって有意義なものとなることを祈念しております。
令和7年2月
循環器 physical examination 研究会代表世話人
室生 卓